QYLDのオプション取引の詳細について解説します。詳しくQYLDのオプションの運用内容を知りたい方には参考になると思いますので、ぜひ読んでみてください!

Contents
QYLDのオプション取引の詳細
ポイントは下の4つです。
- NASDAQ100インデックスの銘柄の株を保有
- NASDAQ100インデックス(NDX)のコールオプションを売る
- オプションの権利行使がなされる際はキャッシュセトル
- 毎月の第3木曜日がオプション期日、第3金曜日に新たな1ヶ月期限のオプションポジションを建てる
それぞれ詳細を解説していきます。また、最後にオプションの権利行使がなされる際のキャッシュの支払いについて考察しています。
1.NASDAQ100インデックスの銘柄の株を保有
QYLDを運用するGlobal Xのページで、QYLDが実際に保有している株の銘柄情報があります。文字通りNASDAQ100銘柄を保有しています。各銘柄の重み(各銘柄何%にする)も、NASDAQ100インデックスの重み通りです。
2.NASDAQ100インデックス(NDX)のコールオプションを売る
QYLDは「カバードコール」で運用されています。カバードコールは、ある銘柄の原資産を保有した上で同じ銘柄のコールオプションを売るという運用を行います。QYLDにおいては、原資産として1で紹介したNASDAQ100の株を保有するのですが、オプションはNASDAQ100インデックス自体のコールを売ることで行います。NASDAQ100の100銘柄それぞれでコールの売りポジションを建てる訳ではありません。
こちら(Nasdaqの公開記事)に詳細が紹介されていますが、インデックス自体をオプション取引出来る市場があるようです。実態がイメージしずらいと思うので、QYLDが保有する実際のオプションポジションを見てみましょう。
QYLDのオプションポジション内容
実はQYLDの保有銘柄リストの中にオプションポジションがあります。例えば2021年8月に保有していたオプションポジションは下のようになっていました。QYLDのページからその時点でのオプションポジションをいつでも確認することが出来ます。
「NDX US 09/17/21 C15075」、これがオプションのポジションです。
・NDX : NASDAQ100インデックス
・09/17/21:オプション期日 2021年の9月17日
・C15075:権利行使価格を$15075としたコール
それから、Shares Held(オプション口数)が2,822口であることも分かります。
オプションに関する銘柄はこのポジションしかなく、NASDAQ100インデックス(NDX)自体をオプション取引していることが見て取れます。
3.オプションの権利行使がなされる際はキャッシュセトル
QYLDでは、オプション期日にNASDAQ100インデックスが権利行使価格以上に値上がりしている場合、キャッシュ(現金)をコールの買い手に支払います。これをキャッシュセトルと言います。
実際の支払い額としては、期日のNASDAQ100インデックスと権利行使価格との差額分となります。
例えば、権利行使価格が$15,000で期日のNASDAQ100インデックスが$15,100であれば、差額の$100×100(オプションは100口単位)の$10,000をコールの買い手に支払うこととなります。

ちなみに、キャッシュではなく現物株をオプションの買い手に提供することをフィジカルセトルと言います。カバードコールのオプション取引の説明はフィジカルセトルを想定してあることが多いですね。
キャッシュセトル、フィジカルセトルについて、こちらにより詳しい説明があります。
4.毎月第3木曜日がオプション期日、第3金曜日に新たなコール売りポジションを建てる
QYLDのオプションの期日、コールオプションの売り建て日は下の様に決まっています。
- 期日:毎月第3木曜日
- コールオプション売り建て日:毎月第3金曜日
こちらのGlobalXの資料(P12)にコールオプションについての詳細が紹介されています。
GlobalXの資料では上記のように明記されていますが、実際にオプションの権利行使の結果がQYLDの純資産に反映されるのはその翌日になるようです。つまり、毎月第3金曜日にコールポジションの決済結果が反映されるようです。例として紹介したオプションポジションは、「NDX US 09/17/21 C15075」となっており、第3金曜日の9/17が決済日のように読めます。
コールオプションの権利行使価格と期限
尚、コールオプションの権利行使価格はAt the money、期限は1ヶ月(翌月の第3木曜日)で設定されます。
At the moneyとは オプションを売り建てる権利行使価格をその時点の原資産の価格と同じにすることです。得られるプレミアムは増えるものの、期日に原資産の価格が上昇した場合の利益放棄分が増えることになります。QYLDはインカムゲイン商品なので、最大限のプレミアムを得るために、権利行使価格をAt the moneyで設定しているのだと思います。
オプション権利行使される際のキャッシュ支払い額
以上がQYLDのオプション取引の詳細内容です。まとめると、
・NASDAQ100インデックス自体のコール売りオプション
・毎月第3木曜日がオプションの期日
・権利行使がなされる際にはキャッシュを期日の翌日(毎月第3金曜日)に支払う
という内容でした。
では、最後に具体的にオプションの権利行使時のキャッシュの支払い額を見積もってみます。
例として、2021年の9月のオプションポジション「NDX US 09/17/21 C15075、2,822口」を取り上げます。
- オプション権利行使の有無
NASDAQ100の9/16終値 : $15,516 ※Yahoo finance
権利行使価格 : $15,075
→NASDAQ100の価格が権利行使価格よりも上昇しているため、権利行使確定。 - キャッシュ支払い額
($15,516-$15,075)×2,822×100 = $124,450,200
※この時のQYLDの総資産は約$4,400,000,000でしたので、約2.8%です。
9/17にQYLDの純資産から$124M相当(2.8%程度)のキャッシュが支払われているはずです。

以上です、最後までお読みいただきありがとうございました。
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