Global Xの高配当ETFは、年利が10%を超えて毎月配当されるという、インカムゲインを重視する投資家にとても魅力的な商品です。
しかもQYLDが上場してからの過去5年間、安定して高配当だった実績も出来てきました。最近は特に高配当で、2021年の7月15日時点での12ヶ月利回りは何と12.4%です!
しかし、QYLDはよく分からない商品でもあります。
「QYLDはNASDAQ100の銘柄をカバードコールで運用するETF商品。オプションのプレミアムがあるから高配当が実現できる」と説明されているものの、今後も10%を超える超高配当を継続できるのかについて疑問を持たれている方も多いと思います。
私も、「今の超高配当はたまたま相場が良かったんでは?悪い時にはどの程度の配当になるだろうか?」という疑問がありました。
この記事では、QYLDが今後も超高配当を継続出来るのかについてデータを元に説明します。また、QYLDにとって悪い相場の時にどの程度の配当になるのかについて予想を試みます。

私も、QYLDに毎月積み立て投資をしている一人です。QYLDについて興味のある方は読んでみて下さい!!
QYLDについて少し知識が無いと読みにくいかもしれません。下の記事でQYLDを紹介していますので、合わせて読んでみて下さい。
>>年利10%の高配当ETF QYLDの4つの特徴
>>超高配当ETFであるQYLDで積立投資する理由
Contents
QYLDは10%超えの超高配当を継続出来るのか?
最初に結論です。
10%超えの超高配当の継続は厳しいが、悪くても6%程度の高配当は継続可能と考えられる。
NASDAQ100の30日期間ボラティリティによって配当が増減する。
・20%超え(コロナショック後のレベル):QYLD分配金利回り 10%超え
・15%(過去10年平均レベル):QYLD分配金利回り 9%程度
・10%(過去10年最低レベル):QYLD分配金利回り 6%程度
では、詳細解説していきます。
QYLDは高配当を継続出来るか?
「10%超えの超高配当の継続は厳しいが、悪くても6%程度の高配当は継続可能と考えられる」と述べました。
QYLDの配当の原資は、NASDAQ100インデックスのカバードコールによるオプションプレミアムの収益です。
では、そのオプションプレミアムの収益はどのくらいなのか?
答えは下のチャートです。
このチャートは、30日期間におけるNASDAQ100インデックス オプションプレミアムの過去5年間の推移を示しています。
オプションプレミアム収益は、平均的に見ると2%弱位(グラフの右側の軸)でしょうか。

引用元:Global X https://www.globalxetfs.com/qyld-a-covered-call-strategy-for-rising-yields/
重要なのは、このパーセンテージが1回のオプション取引で得られる収益率であることです。
例えば2%のプレミアムが得られる場合、100円を原資としてオプション取引を1回する毎に2円の収益が得られるということになります。
QYLDは、NASDAQ100インデックスのオプション取引を毎月1回必ず行います。
過去5年間のNASDAQ100のオプションプレミアム収益の平均は2%弱程度で推移していますので、QYLDのオプション月利平均は2%程度だったということことになります。
ただし、プレミアム収益が全てQYLDの分配金になるわけではありません!
Global X社はプレミアム収益の内どれくらいを分配金にしているか?
QYLDの分配金は、QYLDを運用するGlobal Xで決定しQYLDのシェアホルダーへ支払っています
月利2%のプレミアム収益があったからといって、そのまま2%が分配金になることはありません。
Global XではQYLDのプレミアム収益をどの程度分配金に回しているでしょうか。
Global Xのページで2018年12月から2021年6月の1ヶ月毎のプレミアム収益と分配金を確認出来ます。
元データがPDFなので、実際のレポートはGlobal Xのサイトからご確認下さい(こちら)
これをチャートで示したものが下の図です。
2018年の12月から2021年の6月で、1ヶ月毎のオプションプレミアムは1.5%~4.5%位で、分配金は1%程度だったことが見て取れます。

データ:Global X,作図:てくお
QYLDのオプションプレミアムと分配金の関係
まず、オプションプレミアムが2%を超えている場合、分配金は上限1%でリミットされていました。例えば2020の3月はオプションプレミアムが4.41%ありますが、分配金としては1%となっています。
次に、分配金が1%を下回った月のオプションプレミアムと分配金の関係を見てみましょう。

データ : Global X
オプションプレミアムの約50%、半分が分配金となっていると言えそうです。
まとめると、
・オプションプレミアムが2%以上の時は、1%を上限に分配している。
・オプションプレミアムが2%未満の時は、その約50%を分配している。
と言えます。
尚、この期間で最も分配金が下がった2019年の12月でも、分配金の月利は0.7%でした。

QYLDのオプションプレミアムはどこまで下がる可能性があるか?
QYLDでは、1%を上限としてオプションプレミアム収益の半分が分配金になることが分かりました。
では、QYLDのオプションプレミアムは、どこまで下がる可能性があるでしょうか?
同じ図を再掲します。NASDAQ100のオプションプレミアムは、NASDAQ100のIMPLIED VOLATILITY(ボラティリティ)とかなり強い相関があることが見て取れます。ボラティリティが下がればオプションプレミアムも下がり、上がれば上がります。

引用元:Global X https://www.globalxetfs.com/qyld-a-covered-call-strategy-for-rising-yields/
「QYLDのオプションプレミアムは、どこまで下がる可能性があるか?」
は、NASDAQ100インデックスの30日期間ボラティリティがどこまで低くなるかということを考えると見えてきます。
NASDAQ100インデックスそのものではありませんが、NASDAQ100の代表的な連動商品であるQQQのボラティリティがどの程度かヒストリーを見てみました。QQQの過去10年のデータで、12.5%を底として平均的に15%程度で推移していました。
※AlphaqueryというサイトでのQQQのボラティリティヒストリーを確認できます。
NASDAQ100のボラティリティが低い場合に想定されるQYLDの分配金は?
仮に過去10年の底よりも更に下がって、NASDAQ100の30日期間ボラティリティが10%になったとしましょう。その時のオプションプレミアムを上のチャートから読み取ると1%となります。
QYLDではオプションプレミアムの半分が分配金となっていましたので、プレミアムが1%時のQYLDの分配金は0.5%程度となるはずです。それが1年続いたとすれば、年利換算6%です。

現在(2020年~2021年)のNASDAQ100はボラティリティが高い!
コロナショック以降(2020年の4月以降)のNASDAQ100のボラティリティは20%を超える高い水準で推移しています。
しかし、先に紹介した通り過去のデータを見ると20%を下回っていることの方が多いです。QQQの過去10年間のボラティリティは、平均15%程度でした。
ボラティリティ15%時のオプションプレミアムは上のチャートから1.5%と読めます。
QYLDの分配金になるのはその半分でしたから、月0.75%となります。NASDAQ100が今後平均的なボラティリティで推移すれば、年利9%(0.75×12)程度の分配金になろうかと思います。
QYLDは高配当を継続出来るのか?まとめ
悪くても高配当といえる年利6%程度は継続可能。
NASDAQ100の30日期間ボラティリティでプレミアムが増減。
1%を上限としてオプションプレミアムの半分が分配金となる。
ボラティリティの高低による分配金の目安:
・20%超え(コロナショック後のレベル):QYLD分配金利回り 10%超え
・15%(過去10年平均レベル):QYLD分配金利回り 9%程度
・10%(過去10年最低レベル):QYLD分配金利回り 6%程度
以上です。最後までお読み頂きありがとうございました。
